社内検討資料 経営改善・業務革新 2026年6月 対象 | 3934 ベネフィットジャパン

AIを「資料作成」から
「利益を生む仕事」へ。

過去最高益の足元で、代理店に払う手数料は通信売上の約26%(2年で約2.8倍)。我々はAIで資料づくりを速くした。次は、利益を削る“見えないコスト”に、自社のデータとAIで手を入れる番だ。──外部業者の提案ではなく、現場と数字を知る我々自身の手で。

FY2026 連結売上
183.9億円 +44.3%
代理店手数料/通信売上
約26%
継続課金の売上
83億円
セキュリティ外注(社内)
約5,000万円/年
×売上183.9億円 +44.3% 過去最高 ×営業利益率 9.6%→8.1% 低下 ×通信事業 営業利益 −29.2% ×代理店手数料 2年で約2.8倍 ×継続課金 83億円(過去最高) ×従業員 245→368名 ×株価 1年強で約2倍 ×Genspark Team 2026年1月~ ×売上183.9億円 +44.3% 過去最高 ×営業利益率 9.6%→8.1% 低下 ×通信事業 営業利益 −29.2% ×代理店手数料 2年で約2.8倍 ×継続課金 83億円(過去最高) ×従業員 245→368名 ×株価 1年強で約2倍 ×Genspark Team 2026年1月~
Executive Summary | 要旨

過去最高益は「面で広げた」成果。だが、広げるほど増える“見えないコスト”を、外注ではなく自社のデータとAIで回収する局面に来た。

当社はFY2026に売上183.9億円(前の年より+44.3%)・本業のもうけ14.8億円と過去最高を更新した。だが、その入口は年々「代理店・量販まかせ」になり、代理店に払う手数料は2年で約2.8倍。通信売上に対する割合は約10%→約26%へ跳ね上がった。これが「面展開の成功税」だ。

さらに、5年超の解約増・電話での継続営業・顧客システムのセキュリティ(年5,000万円前後)と、決算書に載らない見えないコストが重なる。これらは外部から見えない=毎日その仕事を回す我々だけが分析・改善できる。Genspark Teamで資料づくりは既にAI化済み。次は、利益を生む仕事へAIを広げる番だ。

+44.3%
FY2026 連結増収率(過去最高)
−29.2%
通信事業の営業利益(前年比)
×2.8
代理店手数料(2年・推計)
2〜4割
セキュリティ外注の削減目安
第1面Cost Structure

「代理店に払うお金」が、どれだけ増えたか

代理店手数料は2年で約2.8倍。通信売上に対し 約10%→16%→26% へ。増収のたびに、新規獲得の費用が重くなる。

Fig.01 | 代理店手数料の推移

代理店に払う手数料(連結・億円) ─ 売上の約3倍の速さで増加

FY202410.06
FY202515.49
FY2026(推計)28.42

有価証券報告書(第29期)の販管費明細より代理店手数料の年額: FY2024 10.06億→FY2025 15.49億(+54.0%)。FY2026は決算説明資料の増減内訳「代理店手数料 増加 +12.93億円」を足した推計値 約28.42億円(+83.5%)。同じ期間に通信売上は+11%しか伸びていない。

項目(連結)FY2024FY2025FY2026(推計)
代理店手数料10.06億15.49億約28.42億
前の年より+54.0%+83.5%
インターネット通信の売上100.12億98.84億111.10億
手数料 ÷ 通信売上約10.0%約15.7%約25.6%

「代理店経由の新規契約が何%か」という数字そのものは、当社の公開資料には出てこない。チャネル(販路)別の内訳は社外に公表していないからだ。しかし、有報に載る代理店手数料の年額を売上で割れば、依存の高まりははっきり追える。

この割合が10%から26%へ上がったということは、同じ1件を取るのに、より多くの手数料を払うようになったことを意味する。解約を差し引いた純増(通信 約4.1万回線/年)で増えた手数料12.93億円を割ると、新規1件あたり約3.1万円の上乗せ獲得コスト。代理店・量販で広げる方針が続くFY2027以降、この負担はさらに重くなる。

面を広げるほど効くこの“成功税”を、外注し続けるのか。それとも自分たちのデータで賢く取るのか。ここが次の利益率の分かれ目だ。
第2面Hidden Costs

表に出ないから、社内でしか直せない

解約・電話営業・セキュリティの費用は、決算書に一切載らない。外から見えない=我々の社内データだけが武器になる領域。

Fig.02 | Structure

二重に効く「成功税」のしくみ

flowchart TD
    A["代理店・量販で広げる
(面で新規獲得)"] --> B["増収 +44.3%
継続課金の売上 83億(過去最高)"] B --> C["① 獲得コスト(公開)
代理店手数料 → 売上の約26%"]:::bad D["5年超で解約が増える
(解約率は非公表)"]:::hid --> E["現状維持に必要な新規獲得が増える"] E --> A D --> F["② 解約防止コスト(非公表)
電話での継続営業・再契約"]:::hid C --> G["利益率を圧迫
通信のもうけ −29.2%"]:::bad F --> G classDef bad fill:#fdecee,stroke:#e54b5e,color:#8a0012,stroke-width:2px; classDef hid fill:#ffffff,stroke:#0a0a0a,color:#0a0a0a,stroke-width:1.5px,stroke-dasharray:5 4;

解約が増えると、純増を保つだけで新規獲得(=代理店手数料)が膨らみ、同時に電話での継続営業コストも積み上がる。①獲得コスト(公開)と②解約防止コスト(非公表)の二方向でコストが効く。②は外部から見えない=自社データでしか分析できない=最も改善の余地が大きい。

論点公開されているか社内で何が分かるか/打ち手
継続課金の割合一部のみ(グループ約45%・通信中心の過去値で約60%)主力モバイルは大半が継続課金。続けてもらう=利益の源泉を守る分析が要る
解約率・5年超の解約非公表契約年数ごとの解約の動きは社内データだけ。やめそうなお客様を先に見つければ再獲得費用を抑えられる
電話での継続営業コスト非公表通話の記録・再契約の成否は社内の財産。優先順位づけと説明トークの型化で手間を減らせる
セキュリティ費用非公表(年5,000万前後)脆弱性検査・ペネトレーションテスト・運用の一部を社内に取り込み、外注を見直せる

当社の継続課金の売上83億円は過去最高で、これは「毎月入り続ける」強いビジネスの証だ。だが裏を返せば、解約は売上の直接の流出を意味する。一般に通信契約は、契約年数が一定を超えると解約が増える。当社でも5年を超えた層の解約が課題で、現状を保つために自社の電話部門が継続営業・再契約を担い、その人件費が増えている。

皮肉なのは、これらの数字がどこにも公表されていないことだ。解約率も電話部門のコストもセキュリティ費も、決算書には載らない。つまり競合も外部のコンサルも見えない。見えるのは、その仕事を毎日回している我々だけ。これは弱みではなく、我々だけが分析し改善できる“聖域”だと捉え直すべきだ。

顧客システムを守るセキュリティ費は年5,000万円前後。格安SIM型の通信会社(自社回線を持たず大量の個人情報を預かる)として必要な経費だが、すべて外注に頼り切る必要はない。運用の一部はAIと社内人材で賢く取り込める。

第3面Where We Are

入口は通った。本番はこれから

AIで「資料づくり」は既にこなしている。だが利益を生む「仕事・自社データ」は手付かず。そこが本番だ。

Fig.03 | AI Activation Map

当社のAI活用マップ ─ 資料づくりは着手済 / 仕事・自社データは未着手

flowchart TB
    subgraph DONE["✅ 着手済 ─ 資料づくり(都度の書類作成)"]
      G["Genspark Team を全社で活用(2026年1月~)
企画書・社外提案書・社内文書の作成"]:::done end subgraph TODO["⬜ 本番 ─ 仕事 × 自社データ(利益を生む現場)"] T1["代理店・販路の分析と需要予測"]:::todo T2["解約の予測と防止"]:::todo T3["電話営業(コールセンター)の支援"]:::todo T4["契約事務の自動化"]:::todo T5["4事業をまたいだ集計"]:::todo T6["セキュリティ(脆弱性診断・運用)の内製化"]:::todo end DONE ==>|次の一手| TODO classDef done fill:#dff5f1,stroke:#2db8ad,color:#0c5a52,stroke-width:2px; classDef todo fill:#ffffff,stroke:#0a0a0a,color:#0a0a0a,stroke-width:1.4px,stroke-dasharray:4 3;

汎用のAIサービス(Genspark Team・1人あたり月約30ドル)は「誰の仕事でもない一般作業=資料づくり」に効く。一方、代理店手数料・解約・電話営業・セキュリティは“当社だけのデータと仕事”の問題で、汎用ツールでは1円も下がらない。本番は、自社データにAIを当てる仕事側にある。

「AIならもう使っている」──社内でそう言われたら、半分は正しい。当社はGenspark Teamを入れ、提案書やスライド、社内文書づくりは確かに速くなった。これは大きな前進で、「AIは本当に役に立つのか?」という一番のためらいを、当社は自費で既に乗り越えている。

だが冷静に問い直したい。この半年で、代理店手数料は下がっただろうか。解約は減っただろうか。電話部門の手間は軽くなっただろうか。おそらく、ほとんど変わっていない。それらは“資料づくり”ではなく“仕事とデータ”の問題で、汎用ツールの守備範囲の外だからだ。汎用ツールで入口を通った今こそ、自社の回線データ・契約データ・通話記録にAIを当て、利益に直結する仕事を変える。

第4面Use Cases

どの仕事に、AIをどう使うか

困りごと → AIの当て方 → 効果。当社の実データを使う、現場発の6つの使い道。

Fig.04 | Problem → AI → Effect

困りごと → AIの当て方 → 期待できる効果

flowchart LR
    P1["代理店手数料が
売上の約26%"]:::p --> U1["代理店ごとの効率を分析
需要予測でムダな獲得を減らす"]:::u --> E1["1件あたり
獲得費用↓"]:::e P2["5年超で
解約が増える"]:::p --> U2["やめそうなお客様を
点数化し先に手を打つ"]:::u --> E2["解約↓
再獲得費用↓"]:::e P3["電話営業の
コスト"]:::p --> U3["通話の自動要約・トークの型化
再契約・追加提案の下書き"]:::u --> E3["1件あたり
手間↓"]:::e P4["契約事務の
手作業"]:::p --> U4["申込・本人確認・開通を
AIと文字自動読み取りで自動化"]:::u --> E4["事務時間↓
ミス↓"]:::e P5["4事業バラバラ
の集計"]:::p --> U5["事業をまたいだ
集計を自動化"]:::u --> E5["即時に
見える化"]:::e P6["セキュリティ外注
年5,000万円"]:::p --> U6["脆弱性トリアージ・
ログ監視の一次対応を社内化"]:::u --> E6["外注を見直し
(2〜4割減)"]:::e classDef p fill:#fdecee,stroke:#e54b5e,color:#8a0012,stroke-width:1.4px; classDef u fill:#ffffff,stroke:#0a0a0a,color:#0a0a0a,stroke-width:1.4px; classDef e fill:#dff5f1,stroke:#2db8ad,color:#0c5a52,stroke-width:1.4px;

いずれも汎用ツールでは解けない“自社データ×仕事”の領域。Genspark等で身につけた「AIへの指示の出し方」を、ここへ広げる。

仕事の領域AIの具体的な使い方使う社内データ期待できる効果
① 代理店・販路代理店ごとの取れ高・解約を見える化し、需要予測でムダな獲得を減らす代理店別の獲得・手数料・解約1件あたり獲得費用↓
② 解約防止契約年数や使い方から「やめそうなお客様」を点数化し、辞める前に優先連絡契約・料金・利用記録解約↓・再獲得費用↓
③ 電話営業通話の自動要約、説明トークの型化、再契約・追加提案の下書き、FAQ自動応答通話記録・成約履歴手間↓・新人の早期戦力化
④ 契約事務申込・本人確認・開通を、AIと文字の自動読み取りで自動化。入力チェックも申込・契約書類事務時間↓・ミス↓
⑤ 経営の集計4事業の数字を自動でまとめ、いつでも見られる集計画面にする各事業の業績データ月次集計が即時に
⑥ セキュリティ脆弱性レポートをAIでトリアージ(優先度づけ)、ログ監視の一次対応、セキュアコーディング支援脆弱性診断結果・各種ログ外注の見直し(2〜4割減)
⚠ 正直な線引き ─ 「全部社内・外注ゼロ」は狙わない セキュリティでは、脆弱性スキャンの一次トリアージ・ログ監視の一次対応・セキュアコーディングの教育・AIによる脆弱性レポートの要約は社内で取り込みやすい。一方、第三者によるペネトレーションテスト・重大インシデント対応・認証審査は、客観性と信頼の面から外部に任せるのが無難。現実的な目標は「年5,000万円の2〜4割削減」であって、ゼロではない。やりすぎた内製化は、かえってリスクになる。
第5面How To Roll Out

小さく試して、数字で確かめる

大号令ではなく、現在地(Genspark)から1つの仕事ずつ。効果を「時間の価値」で測り、勝てた所から広げる。

Fig.05 | Rollout

現場発の進め方(4ステップ)

flowchart LR
    S0["現在地
Genspark Teamで
資料づくりをAI化"]:::s0 --> S1["STEP1 小さく試す
1つの仕事×実データで検証
効果を時間の価値で測る"]:::s --> S2["STEP2 部門で広げる
代理店分析/解約予測/
電話営業へ"]:::s --> S3["STEP3 全社へ
型化・部品の使い回し・
手順の標準化"]:::s S1 -. 安全に .-> SEC["自社データは
匿名化・隔離環境で扱う"]:::sec classDef s0 fill:#dff5f1,stroke:#2db8ad,color:#0c5a52,stroke-width:2px; classDef s fill:#0a0a0a,stroke:#0a0a0a,color:#f5f3ee,stroke-width:2px; classDef sec fill:#ffffff,stroke:#e54b5e,color:#8a0012,stroke-width:1.4px,stroke-dasharray:4 3;

プログラミングができない営業・事務の社員でも、AIに指示するだけで仕事を自動化できる(ソフトバンクは2.5ヶ月で250万を超えるAIの仕組みを社内で作り、その多くは技術者以外)。平均年齢31.8歳の当社はデジタルに慣れるのも速い。鍵は「いきなり全社」ではなく「効果が出た所から広げる」こと。

原則は3つ。第一に現在地から始める。Genspark Teamで身についた「AIへの指示の出し方」を、資料づくりから仕事へ横滑りさせる。第二に実データで、小さく。1つの仕事に絞って自社データ(個人情報は伏せて隔離環境で)で試し、減った手間を1時間5,000円換算で数値にする。第三にセキュリティと両立。社員が個人のAIに業務データを勝手に貼る“シャドーAI(無断のAI利用)”こそ最大のリスク。外部に送らない環境・入力ルール・教育をセットにする。勝てた所から型にして横へ広げる。

Table | 期待できる効果(経営改善の目安・1時間5,000円換算)

段階ごとの投入と効果

段階対象必要な投入(目安)年間の効果(控えめ)もとが取れるまで
STEP1 試す15名(中心メンバー)小規模・ツール+社内の時間年208万円相当数ヶ月
STEP2 部門で広げる 主軸40名(獲得・運用の中核)中規模+実データでの伴走年906万円相当約3〜6ヶ月
STEP3 全社120名(連結の約1/3)複数の試行+型化年2,376万円相当約2〜4ヶ月

効果は生産性・時間の価値であり、そのまま売上になる数字ではない。代理店手数料の質向上・解約抑制・セキュリティ外注削減は、これとは別にコスト構造へ効く。採用される割合の上限・実現率を割り引いた、わざと控えめな見積り。国の助成金(社員教育費を最大75%補助・2027年3月末まで)も使える。

第6面Knowledge Engine

AIを「会社の資産」にする

その場限りのAIへの指示は使い捨て。業務の指示・ルールを「文書ファイル」に貯めて全社で共有すれば、品質が揃い、雪だるま式に速くなる。

そもそも「mdファイル」とは? Markdown(マークダウン)ファイルの略。特別なソフトがいらず、メモ帳でも開ける軽いテキスト文書です。見出しや箇条書きで「この業務はこう進める」「この商品はこう説明する」といった手順・ルールを、誰でも読める形で整理して書けます。AIにこのファイルを読ませると、書いてある通りに動きます。しかも、このファイル自体を手書きする必要はありません。「今の手順をmdファイルにまとめて」とAIに指示すれば、たたき台を自動で作ってくれます──人は中身を確認して直すだけです。
Fig.06 | Compounding Loop

知識が貯まり、加速する仕組み(好循環)

flowchart LR
    A["① 現場がAIに出す
業務の指示・判断"] --> B["② うまくいった指示・ルールを
AIに文書(md)で下書きさせ貯める"]:::key B --> C["③ 全社で共有
(誰でも読める・使える)"] C --> D["④ AIが文書を読み
誰がやっても同じ品質で動く"] D --> E["⑤ 新たな改善を
また文書に書き足す"] E --> B D --> F["知識が“人”から“会社の資産”へ
属人化の解消・退職に強い"]:::out classDef key fill:#fdecee,stroke:#e54b5e,color:#8a0012,stroke-width:2px; classDef out fill:#dff5f1,stroke:#2db8ad,color:#0c5a52,stroke-width:2px;

②→③→④→⑤→②と回るほど、会社全体のAIの質が上がり続ける。一度書いた良い指示は全員が使え、改善は全員に配られる。これが「貯めるほど加速する」=複利(雪だるま式)のしくみ。

観点今(貯めない)これから(文書に貯める)
AIへの指示その場のチャットで消える文書に残り、いつでも使い回せる
仕事の品質人によってバラバラ誰がやっても同じ水準
退職・異動知識も一緒に失われる知識は会社に残る
改善個人の中だけで終わる全社に配られ積み上がる
セキュリティ入力してよい範囲が曖昧ルール文書で共有=シャドーAIを防ぐ

当社はGenspark Teamで「AIへの指示の出し方」に慣れてきた。だが、その指示の多くは個人のチャット履歴に消えていく。せっかくの“良い指示”が会社に残らない。ここを変えるだけで、AI活用は一気に加速する。やることは難しくない。「この仕事はこう進める」「解約の引き止めはこの順で話す」といった指示・判断基準を、文書ファイル(md)に書いて貯め、全社で共有するだけだ。

しかも、この文書ファイルを一から手で書く必要はない。日々のAIとのやり取りや、ベテランへの聞き取りをもとに、「今のやり方をmdファイルにまとめて」「この通話記録から対応マニュアルの草案を作って」とAIに指示すれば、たたき台を自動で作ってくれる。人は中身を確認して直すだけ。“使う”だけでなく“作る・貯める”のもAIに任せられるから、文書化の手間そのものが小さくなり、定着が一気に進む。最初に作るべき例: 「代理店対応の手順」「解約引き止めトークの型」「契約事務の進め方」「AIに入力してよい情報のルール」。

AIへの“良い指示”は、その場で消す消耗品ではない。貯めて配る、会社の資産だ。
第7面Q & A

社内でよく出る疑問に答える

「外注で足りる」「Gensparkで十分」「技術者がいない」── 現場と経営から出る声に、推進担当として答える。

外部委託とM&Aで最高益。AIが要るなら外注で足りるのでは?

外注が向くのは「一度作って終わり」の仕事。だが当社の強みは顧客データを使い続けて磨くことにあり、外注は直すたびに費用と日数がかかる(例:外注10万円・3営業日→社内なら0円・2時間)。事業が2→4に広がった今こそ、買収の相乗効果を取りに行く担い手を社内に持つべきだ。

うちはもうGenspark Teamを使っている。これ以上いる?

資料づくりには効いている。だがこの半年で代理店手数料も解約も下がっていないはず。それらは“資料”ではなく“自社データと仕事”の問題で汎用ツールの外。Genspark導入は否定材料ではなく次の一手の前提。入口を通った今が本番へ進む好機だ。

当社には技術者・エンジニアがいない。回せるのか?

いないからこそ生成AIが効く。プログラミングができない営業・事務職でもAIへの指示だけで自動化できる。ソフトバンクは2.5ヶ月で250万超のAIの仕組みを作り多くは技術者以外。平均31.8歳の当社はデジタルに慣れるのも速い。「今いる社員をAIで強くする」発想だ。

効果がはっきりしない。やって満足で終わらないか?

だから座学でなく実データで小さく試す。代理店向け資料、回線契約の問い合わせ対応、買取査定の定型業務を題材に減った時間を測る。1時間5,000円換算で見える化し、小さく握ってから広げる。「満足度」でなく「減った時間=お金」で説明する。

顧客情報をAIに入れるのは危険では? 通信会社として信用問題だ。

正当な心配で、社員が勝手にAIを使うこと(シャドーAI=無断のAI利用)こそ最大のリスク。だから外部に送らない環境・入力してよい範囲のルール・教育をセットにする。社員が個人のAIに業務データを貼る現状の方が危ない。社内に取り込む=統制された形でAIを使うこと、つまりセキュリティ強化と表裏一体だ。

利益率が下がっている今、新しい投資の余裕は?

利益率が9.6%→8.1%へ下がり通信が−29.2%だからこそ、コスト構造に手を入れる。下がった一因は245→368名への急増で、生産性を上げないと固定費だけが残る。AI活用は贅沢な投資でなく今いる人員の生産性を上げる施策。助成金が効くうちに小さく始めれば損失の幅は限定的だ。

セキュリティ費を、本当に社内で下げられるのか?

全額は無理だが一部は可能。脆弱性スキャンの一次トリアージ、ログ監視の一次対応、セキュアコーディングの教育、AIによる脆弱性レポートの要約は社内で取り込みやすい。第三者によるペネトレーションテストや認証審査は外部に任せるのが無難。現実目標は年5,000万円の2〜4割減。ゼロは狙わない。

本業はロボホンとモバイル通信。社内のAIは本業と関係ある?

むしろ本業のコスト構造そのものを改善する。代理店手数料・解約・電話営業は本業の通信そのもの。ここにAIを当てるのは“横道”でなく“本道”。黒字化したロボット事業も間接コストを抑える局面で社内の効率化が直接効く。

第8面Context

なぜ今か ─ 業績と株価の背景

過去最高益で株価約2倍、市場の期待は高い。次に問われるのは「広がった4事業をどう効率よく回すか」。

Fig.07 | Trend

連結売上高の推移(億円) ※FY2027は会社計画

FY2023125.6
FY2024130.7
FY2025127.5
FY2026183.9
FY2027(計画)202.3

FY2026はM&A(SENKA子会社化)と販路投資で「増収優先」へ。FY2027は売上+10%・店舗拡大の計画で、面の拡大が続く=成功税も大きくなる局面。だからこそ今、コスト構造に手を入れる意味がある。営業利益は12.0→12.0→12.2→14.8→16.6億円(計画)。

当社の株価は、2024年末1,065円の低迷から2025年に急反発(年末1,806円)、2026年は年内高値2,531円をつけ直近2,351円。会社の時価は約68億→約142億へ倍増した。配当もFY2024の20円→FY2026の85円(もうけの約半分を配当に)へ急増し、株主資本をどれだけ効率よく使うかを重視する経営へ転換している。

市場の期待が高まった今、投資家が次に問うのは「広がった4事業をどう効率よくまとめて運営し、面の拡大で増えるコストを抑えるか」だ。代理店獲得の質向上、解約抑制、電話営業の効率化、セキュリティの内製化──本誌の打ち手は、まさにこの問いへの株主に語れる答えになる。外からの提案を待つのではなく、現場と数字を知る我々自身が動く──それが最短の道だ。

外からは見えないコストは、外からは直せない。毎日その仕事を回している我々だけが、改善できる。
第9面Group / Investments

付録 ─ 出資先(グループ会社)と代表者

当社は本体+出資先4社で4つの事業を回している。M&Aで広がった事業を横断で束ねる(第3面・第6面)ための前提情報。

Fig.08 | Group Structure

グループ構成 ─ ベネフィットジャパンと主な出資先

flowchart TB
    BJ["株式会社ベネフィットジャパン
(本体・東証スタンダード 3934)
代表 佐久間 寛"]:::p BJ --> A["ライフスタイルウォーター
連結子会社 100%
ウォーターサーバー"]:::c BJ --> B["モバイル・プランニング
連結子会社 100%
Wi-Fiレンタル・MVNE"]:::c BJ --> C["モバイルスプレッド
非連結子会社
通信の加入取次"]:::c2 BJ --> D["SENKA(買取専科)
完全子会社 100%(2025年5月)
リユース買取・FC"]:::n classDef p fill:#0a0a0a,color:#f5f3ee,stroke:#0a0a0a,stroke-width:2px; classDef c fill:#ebe8df,color:#0a0a0a,stroke:#0a0a0a,stroke-width:1.4px; classDef c2 fill:#ffffff,color:#0a0a0a,stroke:#0a0a0a,stroke-width:1.2px,stroke-dasharray:4 3; classDef n fill:#fdecee,color:#8a0012,stroke:#e54b5e,stroke-width:2px;

4つの報告事業は本体+出資先で分担(通信=本体+モバイル・プランニング+モバイルスプレッド/ウォーターサーバー=ライフスタイルウォーター/リユース=SENKA/ロボット=本体)。別の会社・別の文化を一つに束ねる(買収後の統合)ことが、横断のAI・知識共有が効く現場でもある。

会社名区分事業議決権設立/取得代表者
ライフスタイルウォーター連結子会社ウォーターサーバー100%2008年 設立佐久間 寛(兼任※)
モバイル・プランニング連結子会社Wi-Fiレンタル・MVNE(通信)100%2019年 完全子会社化岸本 大樹※
モバイルスプレッド非連結子会社通信の加入取次(対面販売)非開示2011年 設立上原 嘉之※
SENKA(買取専科)完全子会社リユース買取・FC本部100%2025年5月 取得(約1.9億円)栗田 康弘※

※議決権割合・グループ区分は有報(第29期)の一次情報。代表者の氏名・経歴は各社公式サイト・Best Venture 100・報道などの二次情報で、有報本体には子会社代表者名の記載はない。旧・持分法非適用関連会社「メガマシン」は第29期に関連会社から外れたため、現在の出資先には含めない。

代表者の経歴概要(分かる範囲)